裏技








裏技(うらわざ)とは、取扱説明書(解説書)といった公式文書で発表されていない方法、あるいは技術を指す俗語。主にコンピュータゲームにおいて、実行すると特異な現象を引き起こすテクニックのこと。もしくは、余り知られていないが、知っていると生活上便利な知恵などのこと(後述)。




目次






  • 1 コンピュータゲーム


    • 1.1 呼称


    • 1.2 オンラインゲームと裏技


    • 1.3 裏技の例


      • 1.3.1 隠し技


      • 1.3.2 バグ技


      • 1.3.3 ショック技


      • 1.3.4 攻略法


      • 1.3.5 見た目だけの現象






  • 2 コンピュータゲーム以外での「裏技」


  • 3 脚注


    • 3.1 注釈


    • 3.2 出典


    • 3.3 参考文献




  • 4 関連項目





コンピュータゲーム


コンピュータゲームには、さまざまな裏技が存在する。



  • テストコード - 開発時にプログラマーやテスターが利用したコード。


  • イースター・エッグ - 意図的に隠された機能。

  • バグ技 - プログラムのバグを利用した技。

  • ショック技 - 電源異常や配線のショート、不正な配線の挿抜などでプログラムを異常動作させる技。


  • 攻略法 - バグではない様々な要素を利用したゲーム攻略やスコア等の稼ぎテクニック。


テストコードやイースターエッグは開発現場から外に伝わったり、ゲーム雑誌で公開されることがある[1]


ハードウェアに物理的な影響を与え、特異な現象を引き起こすものはプログラムのバグに起因するものではないが、バグ技の一種とすることがある。日本ではプログラム上のバグに限らず、異常なゲーム画面が現れた状態を指して「バグった」と形容することがある。英語ではこのような表示の異常を指す場合、"bug"ではなく"glitch"(グリッチ。「異常」の意。またはバグ技そのものを指す。)と称する。バグ技やショック技は、プレイヤーに利益をもたらすこともあるが、時にゲームが停止することもあり、最悪の場合データ消失や本体の故障にもつながる恐れがある。後述のワールド9やミュウ出現については、メーカー自ら危険であることを表明した特異なケースである。



呼称


かつてゲーム雑誌には、読者から寄せられた裏技情報を掲載するコーナーがあったが、その呼称は雑誌によって異なる。例えば『ファミ通』では「禁断の秘技」(きんだんのひぎ)、『ファミリーコンピュータMagazine』では「ウル技」(ウルテク:「ウルトラテクニック」の略)と呼称していた。2010年現在では、メーカー側で仕組まれた隠し技を公開するにとどまり、バグ技の存在はほとんど公表されなくなった。なおコンピューターゲームでのジャンルで「裏技」という名称を初めて使ったのは二見書房[注 1]だが、世間に定着・浸透させるきっかけとなったのは『月刊コロコロコミック』(小学館)である。同誌と付き合いの深かったハドソンの高橋名人が「ロードランナーのバグについて『コロコロコミック』に相談したところ、表の技ではなく裏の技という事で紹介してみては」という提案に乗ったのが真相で自分が言い出したのではないと本人が語っている[2]
『コロコロ』で「裏技」という言葉を発案したのは、当時ファミコンを担当していた編集者の利田浩一だとされている。プロレスで使用されていた裏技という言葉を編集会議で提案したところ採用された[3]



オンラインゲームと裏技


裏技は、ネットを介して楽しむオンラインゲームでは、その使用に対し利用規約にて注意または処罰されることがある。裏技によって引き起こされるゲームバランスの崩壊が、運営会社や他のユーザーに多大な影響を及ぼすこととなるからである。過去には、『リネージュ』『ウルティマオンライン』『ラグナロクオンライン』などにおいて、ゲーム内通貨を不当に獲得できるようになる裏技が使用されたことがあった。


そのため、裏技を悪用したユーザーには、ゲームのアカウント停止やデータ巻き戻しなどのペナルティが科せられることがある。裏技の原因となるバグはアップデートによって修正されている。



裏技の例



隠し技


前述のとおり、制作者が意図的に組み込んだものを「隠し技」と呼ぶ[注 2]。コマンド入力により発動するものの例として、無敵コマンド[注 3]、ステージセレクト[注 4]、コンティニュー[注 5]サウンドテスト[注 6]がある。その他にも、無限1UP[注 7]、イースター・エッグ(隠しメッセージ)[注 8]、隠しアイテムなどがある。隠しコマンドによりプレイヤーがパワーアップするものについてはコナミコマンドが著名である。隠し技とは若干趣が異なるが、開発時のバランス調整やデバッグの助けとするために用意された"デバッグモード"(デバッグコマンド)などが製品版でも残されている事例がある[注 9]。また異例としてファミリーコンピュータ版『ゲバラ』にて隠しコマンドを入力すると『サスケvsコマンダー』の家庭用移植版が隠しゲームとしてプレイできる。



バグ技


プログラムや仕様の不具合を突いてプレイヤーがなんらかの利益を得るためのものを「バグ技」と呼ぶ。例えば、移動時などでの衝突判定の誤作動を利用し、本来通過できない場所に無理矢理侵入する技がある[注 10]。これは時としてタイムアタックなどにも利用されるが、脱出不可能となり、その後の正常なゲーム進行が不可能となる場合もある。ロールプレイングゲームなどでの戦闘プログラミングの穴を突いた各種のバグ技も存在する[注 11]。また各種の「制作者の想定していなかった操作」により、アイテムが増殖する、本来手に入らないアイテムを手に入れる、などが可能な事例もある[注 12]。また、バグというよりはプログラムの穴を突いた技であるが、ゲームの進行状況を保存するためにパスワードを用いるゲームにおいては、それを捏造、もしくは改造することが可能なものがある。同時にプログラム側の想定していない状況を作り出せる場合がある。


そもそもがバグであるので何が起こっても不思議ではないのだが、シナリオ判定のバグを利用して様々な意味不明な現象を起こすものの一例として、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』での「ランシールバグ」がある[注 13]


なおバグ技の中には、バッテリーバックアップのセーブデータ破壊を含め、正常にゲームを続行できなくなるものもある。



ショック技


これは、ゲーム機のACアダプタを半分抜いた状態にする[注 14]ことや、コネクタをショートさせる[注 15]ことなどで、物理的な影響を与えてバグが発生したような状態を引き起こすものである。


例えば、ロムカセットを使用しているゲームでは、プレイ中にロムカセットを抜き差ししたり[注 16]、傾けたり[注 17]することで、さまざまな現象が発生する。


また、CD-ROMやDVD-ROMなどのメディアを使用しているゲームでは、プレイ中にトレイを開けたり[注 18](通称「オープントレイ技」)、ディスクを入れ替えたりする[注 19]ことで、さまざまな現象が発生する。


前述のコロコロコミックでも裏技特集が掲載されたとき、一般読者からの投稿を募集したことがあったが、このような機械の不正利用などを使ったものはハード・ソフトを損傷させる恐れがあるため、このような投稿があった場合は「裏技とはみなさない」と注意・警告されたことがある。



攻略法


各ゲームごとのシステムや特徴を逆手に取って攻略を容易にするもの。通常のプレイの延長とも言えるが、特に効果の高いものは裏技として扱われる場合がある。お得な豆知識[注 20]からゲームバランスを崩壊させかねないもの[注 21]まで様々。


RPGでは「増殖する敵を倒し続けて経験値を稼ぐ」「無料回復施設の近辺でレベル上げ」といった攻略は定番となっている。コントローラのボタンをセロテープ等で固定して放置し長時間の自動戦闘を行わせるといった裏技も存在する。


格闘ゲームやシューティングゲームにおける「ハメ技」「安全地帯」「稼ぎプレイ[注 22][注 23]」も一種の裏技と言える。



見た目だけの現象


プログラム的な仕込みや不具合というより、処理落ち等のゲームハード的な制約によって起こるようなものや[注 24][注 25][注 26]、見た目が○○のように見える「だけ」の現象も裏技扱いされる場合がある[注 27]。ゲーム的な損得に繋がることは殆ど無く、見た目の奇抜さを楽しむだけの技なので裏技としてのランクは低い[注 28]



コンピュータゲーム以外での「裏技」


1997年から2007年まで放映されたテレビ番組『伊東家の食卓』では、たとえば「油性ペン」による落書きを綺麗に消す裏ワザ」等、「知っていると便利な生活の技(知恵)」、すなわちライフハックを「裏ワザ」として紹介していた。


また、プロレスなど興行的な要素の強い格闘技で、一般の試合では「地味すぎる」「危険」等の理由で使えないが実戦的には有効な関節技などの攻撃や、テレビ放映の収録などがある試合では使用できない下ネタ系の技を「裏技」と呼称して使用することがある。例としては「極まったとしても観客からは何が起こっているのか全く理解・判別できないが、非常に有効な関節技」「目潰し」「肛門に対する指突きなどの攻撃」などがある。



脚注


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注釈





  1. ^ 『裏ワザ大全集』という名前で各ファミコンソフトのタイトルの冊子を発売していたが、内容はゲーム攻略本のため、雑誌での裏技の意味とは趣旨が異なる。


  2. ^ ファミリーコンピュータ版『ドルアーガの塔』など、ゲーム本編をクリアすれば、エンディング画面で隠し技のコマンドを教えてくれるものもある。『ファイナルファンタジー』などでは、ある隠しコマンドがゲーム中に暗号メッセージとして存在しており、それを解読すれば利用することができた。


  3. ^ ファミリーコンピュータ版『ゼビウス』など。


  4. ^ ファミリーコンピュータ版『ドルアーガの塔』など。


  5. ^ 『スーパーマリオブラザーズ』など。


  6. ^ 「ミュージックモード」とも。ゲーム中に流れるBGMを、自由に聞くことができるお楽しみモード。隠し技としてではなく、本来の仕様として用意されているゲームもある。隠されているものとしては、『ファイナルファンタジータクティクス』などがある。同様に「グラフィックモード」の用意されているゲームもある(『桃太郎伝説(FC版)』)。特に特殊な操作を行わなくとも、ゲーム本編を一度クリアする、などで可能になるものもある。


  7. ^ 『スーパーマリオブラザーズ』など。「隠し技」というより「誤仕様」とするほうが適切である可能性がある。


  8. ^ 『えりかとさとるの夢冒険』など。


  9. ^ 例えば、各種のパラメータを自由に変更できたりするものがある。『ダービースタリオン96』、スーパーファミコン版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』など。後者は特定のアイテムを特定の順番に持つことにより、攻撃が全てクリティカルヒットする、モンスターが100%仲間になる、というデバッグコマンドである。


  10. ^ ファミリーコンピュータ版『スーパーマリオブラザーズ』、『メトロイド』など。


  11. ^ 『ファイナルファンタジーVI』では、「バニシュ」(物理攻撃を確実に回避するが魔法効果が確実に命中し、本来無効であるはずの魔法効果を有効にする魔法)を敵にかけた後、即死の魔法「デス」もしくは「デジョン」を唱えると、無条件で即死する。ファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』では、「逃げた回数」のフラグをオーバーフローさせることによって、以後プレイヤー側の攻撃が全てクリティカルヒットとなる技や、同様にオーバーフローにより、カジノにおいて大量のコインを非常に安価に入手できる技などが存在した(ただし『ドラクエIV』のオーバーフローは追加出荷版は修正済み)。


  12. ^ 『おいでよ どうぶつの森』、『ファイナルファンタジーIII』など。『ポケットモンスター 赤・緑』では同様に、本来あり得ないモンスターを仲間にすることが可能となっている。詳細は「けつばん」を参照。


  13. ^ ランシールで強制的に1人にされるイベント中に特定の行動を取ると、アイテムの増殖やステータスの改ざんなどが可能になる現象が発生する。


  14. ^ 『ドラゴンクエスト』など。


  15. ^ ファミリーコンピュータ版『ベースボール』では、ファミリーコンピュータ本体の拡張コネクタを金属の物体(ゼムクリップなど)でショートさせることにより、魔球を投げることができた。


  16. ^ 『スーパーマリオブラザーズ』におけるアンダーカバーでは、異様なステージを出現させることができる(「ワールド9」「256面」「スーパーマリオX」などと呼ばれることがある)。不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!の倉庫におけるコマンドバグなど。


  17. ^ 『ドラゴンボール3 悟空伝』など。


  18. ^ 『ファイナルファンタジーVII』では、イベントを飛ばしたりすることができる。また、『ビートマニアシリーズ』では、演奏中にやることで、音が一切流れず、ノーツの落下等が遅くなる。


  19. ^ 『ロックマンX5』などは、入れ替えた先のディスクのBGMを流してプレイすることができる。古くはパーソナルコンピュータ用の『ザナドゥ』などでも、フロッピーディスクの入れ替えによる裏技が存在した。


  20. ^ 『ゼルダの伝説』で障害物から上半身を乗り出すように攻撃を繰り出すと向こう側の敵を安全に攻撃できる。


  21. ^ 『真・女神転生シリーズ』の「その時点では強すぎる敵が現れるダンジョン」と「強敵ほど倒して得られる経験値が膨大化するシステム」を組み合わせたレベル上げ。


  22. ^ 威力が低く得点の高い技を当て続ける。


  23. ^ 『グラディウスII』のボスモアイに対して安全地帯から弾幕を貼って放置すると、吐き出されてくる雑魚敵のみを倒し続けることができる。


  24. ^ ファミコンのソフトでキャラの名前を濁点(゛)だけで付けると文字が七色に光って見える。当時のテレビとファミコン本体の画質の低さを利用した裏技であるため、PCのエミュレータや、最新ハードへの移植版・配信版と高画質テレビによる組み合わせでの再現は困難。


  25. ^ 『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』で5体以上のキャラが横並びすると、処理落ちによってキャラが点滅する。この状態でタイミングよく「はなす」コマンドを使うと透明人間と話しているように見える。


  26. ^ ファミコン等の同時発音数の少ないゲーム機で、同じ効果音を絶え間なく鳴らし続けると、ハード的な発音数の上限を越えてしまい、BGMの一部の音が鳴らなくなる。


  27. ^ 『スーパーマリオブラザーズ』のマリオを画面上側に表示されたコインに跨がせると、マリオの股間が輝いて見えるという裏技「キンタマリオ」。


  28. ^ 『ファミリーコンピュータMagazine』のウル技コーナーでの扱いは最低ランクの「序の口技」程度である場合が多い。




出典





  1. ^ マーク・プレンスキー『デジタルゲーム学習』、東京電機大学出版局、2009年、127ページ。


  2. ^ 『グラディウス』 - 高橋名人世代(ニコニコ動画「ゲッチャ」2010年12月22日放送分、11分頃から)


  3. ^ 渋谷直角『定本コロコロ爆伝』 飛鳥新社 2009年 351頁




参考文献



  • 『ザナドゥ』の裏技 チャレンジ!! パソコンAVG&RPG、山下章、電波新聞社刊、1987年1月、ISBN 4-88554-109-3 123ページ

  • 金田一技彦監修、ファミリーコンピュータMagazine 1995年2月10日号特別付録『ウル技大技林'95』、徳間書店インターメディア



関連項目



  • 隠しコマンド

  • イースター・エッグ (コンピュータ)

  • チート

  • 隠れキャラクター


  • 大技林(広技苑)


  • カール・ゴッチ - 「プロレスにおける裏技」の達人として有名。








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