ローカル線




ローカル線(ローカルせん)とは、閑散線区などの輸送量の少ない鉄道路線及び道路・航路のことを指す。和製英語。




目次






  • 1 概要


  • 2 Local 表記


  • 3 ローカル線と観光


  • 4 脚注


  • 5 関連項目





概要


日本語での「ローカル線」は、閑散線区や旧国鉄の赤字83線など、輸送量の少ない線区や航路に対して用いられる。ここでの「ローカル」という言葉は、局所という意味ではなく「田舎」などを示す俗称である[1]


このため、一日の平均通過人員が100万人を超える「山手線」(品川 - 新宿 - 田端間)[2]は局所[3]であるがローカル線とは呼ばれない。一方、長大で複数の生活圏・文化圏にまたがる飯田線、芸備線、山田線などはローカルの範囲を超えることになるがローカル線という認識である[4]



日本での通例でのローカル線は、鉄道ではJRの地方交通線が代表的であり、地方交通線以外の線区を幹線としている。しかし、地方交通線・幹線の区分はあくまでも運賃区分上のものであり、1981年の制定以降ほとんど改訂されておらず、一部では実態に即してない状況も見られる。また地方交通線・幹線の区分に関わらず過疎地を通過する場合もあり、または新幹線の並行在来線区間のように元々主体であった長距離輸送が新幹線に移って地域輸送の区間列車だけになる場合もあり、地方交通線でも都市近郊部で通勤路線として機能している例もあり、線引きは難しい。旧国鉄時代に利用者が少なく地方交通線に分類されたものの、JR化以降に利用者が増加した路線もある。


また各路線について本線・支線の区別があるが、これもいわゆるローカル線とは無関係である。


私鉄においても輸送人員がそのほかの区間・線区に比べ大幅に少ない路線・線区を指す場合が多い。近畿日本鉄道などではローカル線に位置づけられる路線に加算運賃を設定している場合もある。また、地方の私鉄では輸送人員が少ない路線がほとんどであり、他の事業を以て鉄道事業を穴埋めする場合もある。収益が少なくあるいは慢性的な赤字のため、車両の更新、高速化[5]や自動列車保安装置設置、沿線駅のバリアフリー化やホームドア設置、パークアンドライド用駐車場設置、IC乗車カード導入などの鉄道サービス・安全性向上へのための投資も困難な場合が多く、実際に車両の老朽化や保安装置の不備が招いた事故も起こっている。



Local 表記


列車種別での「Local」表記は「Local train」の略で、各駅停車(普通、緩行、鈍行)を意味し、「Rapid」(快速)や「Express」(急行)との区別のために用いられるものであり、ローカル線との関連はない。



ローカル線と観光




大井川鐵道のSL列車(2012年撮影)


ローカル線の中には地域生活の足としての利用だけでなく、観光地の鉄道として知られているものも多くある。山あいの風光明媚な区間を走る山岳鉄道や、旧式化によって本線ではすでに使用されなくなった年代物の車両や蒸気機関車 (SL) を走らせているところもある。日常的なビジネス特急や通勤電車とは異なった風情が漂うものもあり、観光客の目を楽しませる。




  • トロッコ列車

    • 黒部峡谷鉄道本線 - 富山県黒部市。北アルプスのふもと黒部川流域の険しい峡谷に沿って走る山岳鉄道。


  • 蒸気機関車 (SL) の運転を行っている鉄道


    • 大井川鐵道 - 静岡県の大井川流域を走る。上流では日本国内唯一のアプト式機関車が走っている。

    • このほか、2016年現在、JR北海道(SL冬の湿原号)、JR東日本(SL銀河・SLばんえつ物語・SLぐんま みなかみ・SL村上ひな街道号)、JR西日本(SL北びわこ号・SLやまぐち号)、JR九州(SL人吉)、真岡鐵道(SLもおか)、秩父鉄道(パレオエクスプレス)の各社が、SL牽引による観光列車を季節運行している。



  • その他の観光列車


    • 伊予鉄道 - 愛媛県松山市内で、軽便鉄道時代の列車を再現した坊っちゃん列車を走らせている。


    • いすみ鉄道 - 千葉県いすみ市・大多喜町。JR西日本より譲渡された国鉄型気動車キハ52形・キハ28形を利用し、国鉄時代の列車を再現した「観光急行列車」を走らせている。


    • 江ノ島電鉄 - 神奈川県鎌倉市の鎌倉駅と藤沢市の藤沢駅をつなぐ電車を走らせている。海が見えるローカル線として非常に人気が高く、湘南辺りの海水浴客の足にもなっている。



  • 日本国外のローカル線

    • 台湾の集集線(しゅうしゅうせん) - 日本統治時代の駅舎などが現存しており、日本のローカル線以上にノスタルジックな雰囲気を味わうことができる。




脚注




  1. ^ 英語の「ローカル」(Local) は「地方」や「局所」など「狭い範囲の場所」という意味しか持っておらず、「都市」に対する「田舎」を表すものでも無ければ、「過疎」の意味合いも無い。都市も一つの地方であるため、「首都」でさえ「ローカル」である。都市に対する田舎を表すには、「Rural area」や「Provincial」を用いる(ウィクショナリー local)。


  2. ^ 線路別ご利用状況(2009~2013年度) - JR東日本(2015年2月14日閲覧)


  3. ^ 鉄道要覧での山手線は、西側の山手線に、東側の東海道本線と東北本線を合わせた路線であるが、東海道や東北方面との間に直通列車は無く、運転が環状線内のみで完結しているため。


  4. ^ このうち飯田線には全線を通して運転される列車がわずかにあるが、多くの長大路線ではそれぞれの地域の中核駅を中心としていくつかのブロックに分けた運転形態が採られており、線名は一つでも、実質は複数のローカル線の集合体となっている。


  5. ^ 杉山淳一によると、「クルマ社会となった地方のローカル鉄道こそ圧倒的な速さが必要で、クルマより安全で速い、と言う移動手段としての優位性をアピールしなければならない。本気で地域に鉄道を残そうと考えるなら、まずはスピードアップ。」としている。杉山淳一の時事日想:「のんびりゆったり」はローカル鉄道を潰す一方、いすみ鉄道社長の鳥塚亮は、他の交通機関と差別化を図る上でローカル線はのんびり乗れる空いた列車でなければならないとし、乗らなくてもよいので撮りにきてください、などとPRしている。いすみ鉄道 社長ブログ ニッポンのムーミン谷?



関連項目



  • 鉄道路線

  • 日本の鉄道路線一覧

  • 日本の地域別鉄道路線一覧

  • 不要不急線

  • 赤字83線


  • 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)

  • 幹線

  • 地方交通線

  • 特定地方交通線

  • 在来線

  • 第三セクター鉄道

  • 営業係数

  • 秘境駅

  • 盲腸線

  • 保存鉄道

  • 鉄道と政治








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