可変モビルスーツ








可変モビルスーツ(かへんモビルスーツ、TRANSFORMABLE MOBILE SUIT: TMS)は、アニメ『機動戦士ガンダム』をはじめとする「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器「モビルスーツ (MS)」 のうち、人型とは違った形態に変形することが可能であるものを指す。


またモビルアーマー (MA) 形態での運用を主として開発された比較的大型の機体は可変モビルアーマー (TRANSFORMABLE MOBILE ARMOR: TMA) と呼ばれるが、劇中では両者の間に明確な区別はなかった。


ガンダムシリーズでは『機動戦士Ζガンダム(1985年)』で可変MS・MAが初登場した後、作られたシリーズ作品のいくつかにも登場している。




目次






  • 1 各作品シリーズにおける可変モビルスーツ


    • 1.1 『機動戦士ガンダム』(宇宙世紀)シリーズ


    • 1.2 『機動武闘伝Gガンダム』シリーズ


    • 1.3 『新機動戦記ガンダムW』シリーズ


    • 1.4 『機動新世紀ガンダムX』シリーズ


    • 1.5 『∀ガンダム』シリーズ


    • 1.6 『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ


    • 1.7 『機動戦士ガンダム00』シリーズ


    • 1.8 『機動戦士ガンダムAGE』シリーズ


    • 1.9 ガンダム Gのレコンギスタ


    • 1.10 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』シリーズ




  • 2 関連項目


    • 2.1 モビルスーツ関連項目







各作品シリーズにおける可変モビルスーツ



『機動戦士ガンダム』(宇宙世紀)シリーズ


一年戦争中にジオン公国軍が作り出したMAは、高速移動ができて攻撃力も高かった反面、局地専用に特化されたものであるため、MSのような汎用性には乏しかった。戦後、地球連邦軍はMAをMS形態に変形させ、両者の能力を持たせることでその欠点を無くそうとした。このコンセプトによって作られたのがアッシマーやギャプランといった可変MAである。アッシマーにはマグネット・コーティングが、ギャプランからはムーバブルフレームが導入され、変形に要する時間を1秒以内に短縮することができた。


地球連邦軍において可変MAが開発されたのと同時期、アクシズはムーバブルフレームに寄らない独自の可変機構を持つ初の可変MSガザシリーズを開発した。元は作業用に開発されたものだったが、その能力と生産性の高さのため、正式採用・量産されている。可変MSは便宜上、第3世代MSに分類される。


可変MSや可変MAは、MSの汎用性や格闘戦能力とMAの大火力と高速機動性という長所を併せ持ち、一撃離脱攻撃を得意とする。また、大気圏内ではMA形態に変形することで単独での飛行を可能とした。MA形態に変形するメリットとして、スラスターの方向を集中することによる高速移動の実現と、各ユニットを集中させることで慣性モーメントの低減・剛性の向上がある。またΖガンダムのように単独での大気圏突入能力を持つものや、木星宙域での稼動を前提としたメッサーラなど、特殊な能力を付加された機体も存在した。


可変MSや可変MAはグリプス戦役において様々な機体が実戦投入され、特に大気圏内およびその付近において大きな戦果を挙げている。また通常の機体に対しては、戦闘を継続するか否かの選択権を持つため生存率が高かった。しかし変形機構を組み込んだMSは当然通常のそれより機構が複雑になってしまうため、整備に膨大な時間と労力を必要とし、またコストも高騰するなど運用面のデメリットを払拭し切れなかった。そのため、アクシズ(ネオ・ジオン)のガザシリーズのような例外をのぞいては本格的な量産はされず、試作機や少数生産された機体がエースパイロットやエース部隊に引き渡されることが多かった。その後の第一次ネオ・ジオン抗争期においては、通常型MSの高性能化・重装備化の方が優先されるようになり、可変MSや可変MAはあまり開発されなくなった。


可変機構に加えて様々な戦局での運用に対応すべく合体・分離機構を採用した可変MSも登場したが、製造コストが莫大になり、配備数は多くない。代表的な例(というよりほぼ唯一の例)としては第一次ネオ・ジオン抗争期のエゥーゴのエース機、ΖΖガンダムが挙げられる。このような可変MSの恐竜的進化(なお、この表現は通俗的なもので、進化学的には厳密ではない。このような進化は「躯体大化の法則」と呼ばれる)に対し、第二次ネオ・ジオン抗争期のリ・ガズィではバック・ウェポン・システム(BWS)を採用して変形を不可逆・簡略化することで、簡易可変MSとしての可能性が試みられた。だがBWSは着脱後の再装着ができず、回収も困難であるがゆえにかえってコスト高を招いた。RGZシリーズの本格的な量産化の実現は、変形機構にメタスの発展型を採用したリゼルの登場を待たねばならなかった。同時期のアンクシャと同様に僚機のサブフライトシステムとしても運用されたが、これは連邦軍による軍備再編計画の一環ともいわれている。しかし、以後の連邦軍は通常型MSの開発配備にさえ支障をきたすほどの停滞と衰弱に陥り、[要出典]可変MSの開発が行われることはなくなった。


ザンスカール戦争においてはリガ・ミリティアのヴィクトリーガンダムを代表とする一部のMSが変形可能な形態を見せており、ザンスカール帝国において一部はデュアルタイプと呼ばれている。ただし、その当時は技術の進歩によって一般兵士用の量産MSでさえ飛行能力を保有しており、それほど必要性がない可変MSの配備は個人専用機レベルにとどまっている。


中原れいによる漫画作品『機動戦士ガンダム MSジェネレーション』に登場するガンダムGT-FOURおよびGT-FOURに対抗して開発されたザクスピードがある。1年戦争末期のストーリーであり、作品の時系列上は最も初期の可変モビルスーツとなる。



『機動武闘伝Gガンダム』シリーズ


『機動武闘伝Gガンダム』においては、ヘリコプター形態に変形可能なネオアメリカ軍の可変MS・マーフィーが登場している。


ガンダムファイトで使用されるモビルファイターは、操縦者であるガンダムファイターの全身の動きを再現するモビルトレースシステムを採用している。このため、一時的に高機動モードなどに変形する機体は比較的多いが(ゴッドガンダムなど)、人型以外の形態に変形できる機体は特殊環境でのファイトを前提としたもの(マーメイドガンダムなど)や、特殊な闘法を使うガンダムファイターが搭乗したもの(ジェスターガンダムなど)に限られる。


なお、シャッフル同盟の専用機は高速移動形態としてトランプのスート(紋章)に変形する機能を持つ。ただし、ブラックジョーカーのみは変形機構がなく、ビームで機体を覆う方式をとっている。



『新機動戦記ガンダムW』シリーズ


『新機動戦記ガンダムW』においては、スペースコロニー側の原型機であるウイングガンダムゼロに「ネオバード形態」と呼ばれる高速移動形態に変形する機構があり、ウイングガンダムにも「バード形態」という形で受け継がれている。ただし、Endless Waltz版のウイングゼロには変形機構はない。


OZ側の量産型モビルスーツではトラゴスやエアリーズ、トーラスなどに脚部の収納、姿勢の固定など簡易な変形機構が見られるだけである。


試作型MSや特殊用途のMSではガンダムエピオン、ガンダムアスクレプオスやハイドラガンダム、スコーピオなどに変形機構が見られる。特にスコーピオはその任務の性質上MA形態を主としている部分があるため、可変MAと呼ばれることもある。



『機動新世紀ガンダムX』シリーズ


『機動新世紀ガンダムX』においては、ガンダムエアマスター及びガンダムアシュタロンとそれぞれの後継機が高速移動形態に変形する機構トランスシステムを持つ。


どちらも大気圏内での高速飛行を目的とした変形である。両機は背にMSを搭載しての飛行も可能であり、支援目的も持つようである。


なお、他にも新連邦軍のMSで機構トランスシステムに準ずる機能を持つもの(脚部を伸縮変形して飛行形態にすることが可能なMS・バリエント)も存在する。



『∀ガンダム』シリーズ


『∀ガンダム』においても、可変MSは非常に少ない。カプル、イーゲルのシステムは変形というより姿勢変更に近く、完全に可変MSと言えるのはムットゥーやフラットのみである。



『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ


『機動戦士ガンダムSEED』において、最初にMSを実戦配備したのはザフト軍であり、可変MSは局地戦用MSとして、ザウートの移動速度向上のための脚部の無限軌道形態への変形や、グーンの水中航行形態への変形が可能になっている。


地球連合軍が開発したG兵器の1機イージスは、通常のMS形態のほかに強襲形態、高速巡航形態のMAへ変形が可能であり、コズミック・イラにおいて戦術レベルまで高められた初の可変性能を持っていた。後に、イージスのX300系フレームを受け継いだ可変MS、レイダーが開発され、『ガンダムSEED MSV』では、レイダー制式仕様の量産化が行われ、地球連合軍の戦力増強に寄与した。


ヤキン・ドゥーエ戦役の終結後に締結されたユニウス条約により、地球連合・プラント双方にMS保有数の上限が設けられ、地球連合軍はダガーLやウィンダム、ザフト軍はニューミレニアムシリーズを中心としたバックパックの換装により単機で複数の状況に対応可能なMSの開発が行われた。


地球連合は、主力MSをウィンダムに一本化する一方、大型機動兵器を次世代の主力機とする構想があり、そのコンセプトを元に大型可変MSデストロイを開発した。


一方でザフトはセカンドステージシリーズやバビ、アッシュを開発、局地戦において高い性能を発揮する一方でMS形態への変形で通常戦闘にも用いる事が出来る。


オーブ軍が開発したムラサメは、戦闘機形態のMAへ変形する事が可能であり、補助装備無しでの飛行能力を持っている。さらに同形態の主翼には数発の対艦ミサイルの搭載が可能で、対艦攻撃性能も向上している。宇宙でも運用可能な万能機をオーブ軍は主力とした。


『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R』では、イージスを強奪したザフト軍がそれを元に可変MSリジェネレイトを開発した。


『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY』では、イージスは量産には至らなかったものの、アクタイオン・プロジェクトによって再建造されたものが、ロッソイージスとして開発された。同機はオリジナル機を上回る多くの変形機構を有している。


『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY』では、火星のコロニー群がジャンク屋組合の協力の下完成させたガードシェルが存在し、三脚型形態に変形する機構を備えている。



『機動戦士ガンダム00』シリーズ


『機動戦士ガンダム00』の舞台である西暦2300年代の地球は、ユニオン、人類革新連盟、AEUの三大勢力が存在し、この内ユニオンとAEUの主力MSは可変MSである。ただし、2307年の主力機であるユニオンリアルドやAEUヘリオンは作戦行動中の変形を考慮しておらず、変形は出撃前の換装作業によってのみ可能である。戦闘中に変形が可能となるのは後継機であるユニオンフラッグとAEUイナクトからであるが、それでもパイロットの高い技量が問われ、実際に戦闘中の変形をしたのはグラハム・エーカー(後に「グラハム・スペシャル」と呼ばれる) ジョシュア・エドワーズ ハワード・メイスン アリー・アル・サーシェスなど少数のエース級パイロットのみである。


2308年には三大勢力が統合されて国連軍(2312年に地球連邦平和維持軍へ改名)となり、擬似太陽炉搭載機が配備され始めた。これらはMS形態においても従来機を凌駕する機動性を有しているため、可変MSの存在意義が無くなり新規開発は行なわれなくなっていたが、2314年にはアロウズ解体に伴い、新型機としてフラッグ系をベースとした可変MSブレイヴが開発されている。


ソレスタルビーイングが有するガンダムでは、第2世代ガンダムのガンダムアブルホールを経て2307年にガンダムキュリオスが開発され、その後2312年に後継機アリオスガンダムと支援機GNアーチャー、2314年にはアリオスとGNアーチャーの機能を統合したガンダムハルートが製造された。


一方、2312年にイノベイター勢力が開発したMAレグナントは、MA形態からMS形態に変形できる。同時期に登場したリボーンズガンダムも、砲撃形態リボーンズキャノンへの可変機構を有している(当初はタンク形態まで存在したが、アニュー・リターナーがデータを持ち帰ったツインドライヴシステムを搭載する位置との兼ね合いでタンク形態は外された)。



『機動戦士ガンダムAGE』シリーズ


『機動戦士ガンダムAGE』においては、UE / ヴェイガン側のガフランやバクトなどの機体が、自陣から連邦領内の長距離を移動する目的で変形機構を採用しているが、第2部以降は勢力圏拡大に伴い長距離移動の必要性が薄れたため、非変形機が多くなっていった。


一方の地球連邦軍は、ガンダムAGE-2(後にマッドーナ工房の手によりガンダムAGE-2ダークハウンドに改修)が高速飛行形態「ストライダー形態」への可変機構を搭載したのを皮切りに、AGE-2のデータが反映された可変量産機クランシェなどが製造された。



ガンダム Gのレコンギスタ


『ガンダム Gのレコンギスタ』では、「ヘルメスの薔薇の設計図」を基に製造されたG系統のMS「G-アルケイン」が可変機能を持っている。


また、作中の一勢力であるキャピタル・アーミィも、エルフ・ブルを始めとした可変MS「エルフシリーズ」を開発している。



『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』シリーズ


『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』では、テレビアニメ第1期で高機動形態に変形する「百里(ヒャクリ)」が登場するが、こちらは両腕をバックパックに収納するのみの簡易的な機構にとどまっている。第2期に登場するガンダム・フラウロスは四足歩行の砲撃モードに変形し、その機構もより可変機らしいものになっている。



関連項目


  • ガンダムシリーズの登場機動兵器一覧


モビルスーツ関連項目


特定の種別のモビルスーツに関する項目。




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